胃の内壁を探る箕門
宮原一男先生が大腿内側にあるしこりに注目され、紐の結び目をほどくように治療しておられました。先生は既に他界されましたが、源義堂に来てご指導くださっているように日々感じています。
胃の内壁がざらざらしている感覚を大腿内側に観ることがあります。経穴でいえば箕門(きもん)という胃経の経穴付近です。広さのある経穴ですので同調すれば見つけやすいと思います。
胃の部が膨満いる方に左の箕門付近を探るように揉捻したところ、鍼をするまでもなく胃部が快適になりました。是非お試しください。
箕という字はミノと訓読みするところから焼き肉のミノを連想しました。あれも確か胃袋のお肉だったかと思います。
消化管の気持ち
生物の身体の構造で心臓よりも早くできるのは消化管です。脳や心臓が無い生物でも消化管は基本的に備わっています。ですから消化管は生命にとってとても基本的で重要な器官であるといえるでしょう。
食べるという事は人間に本能として組み込まれていて、生まれて間もない赤ちゃんでもまだ目が開かないうちからお乳を探します。教えなくても食べるということを知っているのですね。
しかしこの大事な大事な消化器官の取扱説明書がほとんど普及していないので、使い方を間違えて壊れそうになっている消化管をどうにか70~80年もたせているというのが現状ではないでしょうか。壊れてしまったり、不具合が生じて手術で取り除かなければならない方もいます。
消化管の気持ちになって考えてみましょう。
胃の気持ちを考えてみると、、大変な働き者であることがわかります。炭水化物やたんぱく質が入ってくると、胃は活動を始めジュクジュクになるまで4~6時間かけて働き続けます。食べるものによって胃の中に留まる時間が変わりますから、上手に規則通り食べてほしいとぼやいているかもしれません。3食食べたら、12~18時間。消化は結構疲れるのです。
さらに間食が入ってくると、せっかく終わりかけていた仕事なのに~~ということになります。
毎日良く働いてくれている胃に感謝の言葉を送りましょう。そして胃が少しでも楽に働けるように、胃にやさしい物を、胃にやさしい時間とタイミングで食べるようにしましょう。
もしも胃が不調になっているようなら、足の胃経に鍼やお灸をすると改善するものも多いです。もっと手軽に、胃を撫でてあげる気持ちでお腹をさするだけでも胃の機嫌が治ることがあります。それでもだめなら源義堂へお越しください。
胃が痛い50代女性の治療
胃がときどき激しく痛むというやせ型の女性が来院されました。
履歴をみると7年前にも胃痛で来院され2回治療をしていました。
5年で5kg痩せてしまったので太りたいと思われ、食欲以上に食べるようにしていたそうです。
それにストレスが重なって、数か月前から胃痛になり当院へ来るようになりました。
眉間に縦の線が入っているのは胃潰瘍の方によくみられる線ですが、学生時代からあったとか。。
そして胃下垂。
胃下垂なので寒がりで、これではいい消化吸収が望めないでしょう。
痩せているので全身が筋張った感じで硬いのですが、中でも2つの筋(スジ)に注目して治療をおこないました。
一つ目は、安眠のスジと僕が呼んでいるもので、鼠径部の下、足側にあります。ここの電気刺激と按腹で胃の肌肉を緩めます。これが張っている人は眠りの質が悪いか不眠になりがちです。
二つ目は、胃下垂のスジ。太もものお尻の下のスジです。これも低周波電気治療(ハッピーヘルスによる)と按腹で少しずつ緩めます。
こんな感じで一時間の治療の後には青白かったお顔の色も桜色になり、固いお腹もだいぶ緩んできました。
継続的に少しずつ緩めていければ良いのですが。7年前は継続できなかったから心配です。